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謎多き遺骨 |
だが、もっと大きな謎がある。同遺跡は7層からなり、古い時代から順に積み上げられているが、不思議なことに上の層は下の層の完全なコピーになっている。つまり、原始集落社会から数千年をかけて発達するはずの都市文化が、下層にあたかも突然出現したかのような構造になっているのだ。逆に言えば、知られざる超文明がインダス文明以前に存在していたのかもしれないということになる。さらに不思議なのは紀元前2000年ごろ、インダス文明は突如として歴史から姿を消してしまう。理由はいまだにわかっていない。
その謎について、興味深い遺物がモヘンジョ・ダロに存在する。複数の遺体が不自然に折り重なり、ねじれ、苦悶の表情を浮かべて一瞬のうちに死に至ったと思わせる遺骨で、末期層の路上や屋内の遺構9箇所から48体発掘された。火山噴火ならば、逃げる手段もあったはずだが、逃げる間もなく<突然の死>を迎えたかのような遺骨ばかり。その一部の白骨には高温加熱の焦げた跡が歴然と残っている。
1978年、現地を調査した古代史研究家のDダヴェンポートとEヴィンセンティは、インドの古代叙事詩「ラーマーヤナ」の舞台がこのモヘンジョ・ダロではないかと推測し、調査を開始した。すると遺跡から5㌔ほど離れた場所に、現地の人が<ガラスになった町>と呼んで立ち入りをタブーとしてきた区域があることを知った。そこは、ガラス化した石が直径400㍍ほどの範囲にわたって一面に散乱しており、高熱で溶けた土器やガラス化した黒い石などが発見された。ローマ学科大学の分析では「融点1400~1500度以上の高熱」でしかも非常に短時間の作用で加熱されたものだということがわかった。
その何かの惨劇直後から4000年にわたり、この都市は打ち捨てられたままになった。モヘンジョ・ダロが「死の丘」を意味するゆえんである。
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